上図は、1999年度および2000年度に調査を行った計24棟の卓越振動数Fbとその階数Nの関係を求めたものです。図中には、従来言われている関係式(1/Fb= 0.06N 〜 0.1N)も示しています。
建物の卓越振動数は関係式の上方に逸脱するものもありますが、下方に逸脱するものも多いことがわかります。下方に逸脱するものの多くは、地震被害を受けたものであります。新築中の2棟以外の8階以上の中高層ビルは、過去の地震で被災した経験があります。なお、被災した中高層ビルは、その卓越振動数から、地震時に軟弱な堆積地盤と共振したことが推測されます。また、低層構造物は地震後建てられたもので被災経験はないものとなっております。低層構造物の卓越振動数は、標準的なFb-N関係から推定される値より高くなっていますが、1995年に被災したままの中高層建物の卓越振動数は標準値よりも低い値となっています。被災したものの補強された構造物1棟や新築中の21F建ての構造物、その他超高層の構造物は標準的なFb-N関係に概ね適合しています。
以上のことから、上図のFb−N関係線により、建物のおおまかな耐震性を判断できるものと考えられます。
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