はじめに メキシコ合衆国の首都メキシコシティは、世界最大の都市であるとともに数々の地震被害を経験してきた都市でもあります。特に、太平洋側で発生した1985年ミチョアカン地震(本震Ms8.1,最大余震Ms7.5)では、震源から約350kmも離れているにもかかわらず、市内の軟弱地盤地域を中心に壊滅的な被害が発生しました。この被害は、建物自身の耐力はもちろんのこと、表層地盤特性にも起因するものと考えられ、建物の耐震性とともに地盤条件を事前に把握しておくことの重要性を認識させるものでありました。 そこで弊社では、常時微動を用いて同地域での地盤調査や構造物の振動特性を調査するとともに、今後起こるであろう巨大地震に備え、地盤や構造物の被災しやすさを簡便かつ的確に把握する手法の開発確立を1999年より進めております。ここでは、その内容の一端を紹介いたします。 なお、本研究は文部科学省の平成11年度および平成12年度科学技術振興調整費による「アジア・太平洋地域に適した地震・津波災害軽減技術の開発とその体系化に関する研究」の一環として行っているものです。 |
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調査概要 対象とした地域はメキシコシティ市街地です。メキシコシティは、16世紀以降湖を埋め立てて街を拡大させた都市であるため、市街地のほとんどが湖を埋め立てて形成された軟弱な堆積地盤地帯に位置しています。また地震による被害は、1985年ミチョアカン地震のみならず、1957年、1979年に発生した地震でも同地域の軟弱地盤を中心に発生しています。 本調査では、メキシコシティの丘陵地から軟弱地盤への地盤特性変化を詳細に把握するため、3つの地盤区分(丘陵部、遷移部、堆積部)を網羅する計5測線(計203測点)で地盤の常時微動測定を行いました。また、主に軟弱地盤上に立地する計24棟の構造物についても比較的詳細に常時微動を測定しております。このうち構造物のいくつかは、1985年の地震のほか、同地域に比較的大きな被害をもたらした1995年の地震(M7.4)も経験しています。 |
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メキシコシティ市街地の測点 |
解析結果
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