トルコ・コジャエリ地震被害調査

 1999年8月17日午前3時2分(現地時間)、トルコ北西部で発生した大地震(イズミット地震、Mw=7.4)は、その地域を中心とする広範囲の構造物に多大な被害をもたらし、15000人以上の死者と数十万人のホームレスを残した。弊社では、8月31日から9月12日にかけ、同地域の被害調査とトルコ最大都市イスタンブールにおける歴史的建造物(アヤソフィアモスク、スレイマニエモスクなど、)の地震被害の調査を行った。


Tectonics:

 トルコ北部には、ほぼ東西に1200kmにわたって北アナトリア断層が走り、今回の地震はその活断層の西端付近で起きた。この地震で発生した地震動は、イズミット、ギョルジュク、ヤロバ、アダバザルを中心とする40×200kmの範囲に被害をもたらした。
 トルコ共和国は、東が東アナトリア断層ゾーン、北が北アナトリア断層ゾーン、西が地中海、南がキプロスプレートで構成されている。今回のような北アナトリア断層で起きる地震は、トルコ西側にあるアラビアプレートがトルコのマクロプレートを西の方へ押すことで発生する。このようなプレートの運動で、以前にもイズミット-アダパザル地域では大きな地震を経験した。今回の地震では、長さ125kmの断層面が確認され、断層に沿った平均変位は、右横ずれで2.5mであった。
 大きな震災を受けたイズミットは、北アナトリア断層の北側に位置し、盆地地形となっている。表層は一般に、地震動による被害が生じやすい厚い粘土層またはゆるい砂層から構成されている。

Earthquake Photos:

 今回掲載した写真は、断層や被害を見ることができたイズミット周辺からアダパザルまでのものである。現地の案内役として、イスタンブールの地質学者ミュジュダット氏が同行した。9月5日、イズミット-アダパザルへ向かい、地表面に現れた断層やその周辺の被害調査を行った。現地へ向かう高速道路を移動中、崩壊した建物の一部がすでに片付けられているのが見えた。今回の地震は、アダパザルの町全体を強い加速度と液状化の両方で、激しく、広範囲に被害をもたらした。そこで、弊社では現地調査として、アダパザル内の液状化した地区と、カンディリ地震研究所のいくつかの強震観測点で常時微動測定を行った。測定点に関しては上記の地図を参照されたい。写真中のいつくかの崩壊したビルは、主に6〜8階建ての鉄筋コンクリート構造であり、同地区の地盤状態や液状化が、その構造物に重大な影響を与えたと考えられる。またその他にも、設計や施工、材料の問題でも地震被害を大きくしたと考えられる。崩壊したビルのほとんどが、耐震設計法に従うことなく設計されたことと、低質なコンクリートや補強、地盤状態が、それら多くのビルに特殊な被害を引き起こした。

Research on Historical Buildings:

 地震発生の2ヶ月前の1999年6月、弊社では、イスタンブール市内の歴史的建造物(アヤソフィアモスク、スレイマニエモスクなど、)の常時微動測定を行っている。今回、それら建造物の地震によって受けた影響を調査するため、再び常時微動測定を実施した。現在この調査結果については解析中であり、後日このホームページや論文等で発表していく予定である。



地震被害の詳細(その1)

地震被害の詳細(その2)

地震被害の詳細(その3)


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