2016/5/16 茨城県南部の地震 (M5.5)



2016年5月16日21時23分頃に発生した地震について

 表記の地震により、首都圏の交通機関はほぼ一斉に運行停止になった。緊急地震速報によるものと思われる。東京メトロや東海道新幹線などは運行停止から運転再開まで、それぞれ4分および8分程度で運転再開したと報道されている。震源が42kmとやや深かったために広い範囲で震度4となり、驚かれた人も多いだろう。

 地震規模はM5.5(暫定値)と経験上、被害が発生する下限の地震に相当するが、その深さのため被害の発生は考えられない。この地震に対しては、その発生は把握しても警報することなく震度などの変化状況を知らせるというのが、適切な対応だろう。ただ、つくばではG7科学技術相会合が開催されており、その懇親会が終了したところで発生した地震ということで、地震になれていないG7各国の大臣やその随行員はさぞ驚かれたことと思う。

 そのつくばなどの地点の震度変化状況を、緊急地震速報などの警報タイミングとともに下図に示す。緑色がつくば(K-NET)、オレンジ色と青が岩槻の地表と地下(KiK-net)の記録で、いずれも防災科学技術研究所が運営している強震観測網のものである。岩槻は気象庁がこの地震を最初に検知した地点とのことである。


 これによると、岩槻の地下にもっともはやく地震動が到達し、地表に達するまでにP波で1秒弱、S波で1-2秒を要していることがわかる。岩槻地下からつくばまでは、P波で1秒弱、S波で2秒程度を要している。もし、つくばにFREQLがあれば、FREQL警報は11秒頃に出される。高度利用者向け緊急地震速報(第一報)は約14秒、一般への警報としての緊急地震速報は約19秒に出されている。つくばのS波到来までに、FREQL警報では5秒、高度利用者向け緊急地震速報では2秒が見込まれる。しかし、一般への警報としての緊急地震速報は大きく揺れ始めてから3秒ほど経過している。このような緊急地震速報は、大きな地震動に驚いた人々がさらに驚く状況になるだけで、熊本地震でも問題になっているようである。なお、携帯電話からの緊急地震速報はさらに5秒ほど遅れる。


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