- REPORT(速報)- 平成28年(2016年)熊本地震


平成28年(2016年) 熊本地震
平成28年(2016年)熊本地震の震動状況を速報します。

利用データ :
   国立研究開発法人防災科学技術研究所 強震観測網(K-NET, KiK-net)
   気象庁発表値(HPより)

※K-NET及びKiK-netの観測データを使用しているため、場所によっては気象庁発表の震度と異なる場合があります。


※新幹線脱線現場付近での地震検知と警報(PDFファイル)



描画によって明確な余震を伴うのはM5とM6の中間以上であることなどはわかりましたが、断層の進展などをこの図から事前に明確に評価するのは大変困難なことを実感いたしました。
地震の発生状況については、地域の専門家等から、当該地域の過去の地震発生状況などを踏まえながら、当面の見通しをお示しいただけると、的確な防災対応ができるのではと思います。

(ご注意)定期的な更新の最後にあたる7月25日の地震活動状況に変化が認められました。しかし、余震域だけが網掛けしたようになっていたため、気象庁の方で何か地震処理条件を変更したものと判断しました。このような変更は、データ公開と同時に告知されなくてはなりませんが、地震学会の"なゐふるメーリングリスト"で異常を指摘する投書で問題になるまで何も告知されませんでした。7月29日になって25日から変更した旨の告知がありましたが、変更の告知内容があいまいで、7月25日前後で連続性を確保できませんでした。そこで、対象地震規模をM≧1.0として、前後で違和感があまり感じられないようにしていますが、7月25日以降は気象庁の発表基準が変わっていますのでご注意ください。変更の詳しい内容については、気象庁HPなどをご覧ください。



K-NETやKiK-netの記録を二回積分して得られた地殻変動軌跡等
国土地理院が作成した断層周辺図に重ね合わせた。観測点位置は概略。



各地における震動検知からの地殻変動
K-NETやKiK-netの記録を二回積分して得られた変動


熊本地震本震時の地盤変動図


 防災科研や気象庁が管轄する強震観測データを用いて、地盤変動を算定した。観測加速度波形を二回積分して変位を求めたが、地震計基礎の回転に起因する基線変化が複数回発生していると思われる地点については、地震動開始後30秒程度で変動は納まるとして、基線を推定している。GPS観測による変動と比較して、概ね妥当と考えられるが、KiK-net阿蘇やJMA西原のように異常に大きな値を示すところもある。KiK-net阿蘇については、防災科研がきちんと公表しているものではなく、未整理ファイルにあるものを見つけて使っている。地中の波形データは明らかに異常だったので、算定していないが、地表のものについても注意が必要と思われる。JMA西原については、気象庁が公表しているものであるが、震動の始まりの部分については積分時の基線補正が十分でない可能性がある。

 算定された地盤変動は、KiK-net阿蘇を除けば、概ね妥当のように思われる。東西方向の変動をみれば、推定される断層の上盤側に位置すると思われる、K-NET熊本、KiK-net益城、JMA益城、K-net大津の各地点で1m前後の永久変位が生じていることがわかる。これらの変動図から水平面内での軌跡図を描き、国土地理院によるGNSS観測結果を記した断層周辺図に重ね書きしたものも別途掲げている。参考にしていただけると幸いである。


(2016-5-10/SDR)


2016/4/16本震(M7.3)の震度分布(リアルタイム震度RI)


各地の震動状況(震度5弱相当以上)の地点

観測点 震央距離(km)  5HzPGA(Gal)  リアルタイム震度RI 
(JMA) 益城 7 820 6.8
(JMA) 西原 16 818 6.7
KMMH16 益城 7 1126 6.4
KMM006 熊本 5 575 6.2
KMMH03 菊池 28 643 6.1
(JMA) 宇城 14 469 6.1
(JMA) 熊本西区  8 515 6.0
OIT009 湯布院 78 575 6.0
KMM004 一の宮 39 312 6.0
KMM005 大津 17 492 5.8
KMMH14 豊野 13 473 5.8
KMMH02 小国 50 525 5.6
KMM009 矢部 22 612 5.6
KMM011 砥用 18 461 5.6
KMM007 高森 35 333 5.4
OITH11 九重 72 432 5.4
KMM001 小国 50 207 5.2
KMM012 八代 31 190 5.2
KMMH06 白水 32 126 5.0
FKO015 柳川 56 201 5.0
KMM003 玉名 28 205 4.9
KMM013 田浦 49 150 4.9
KMMH09 泉 32 195 4.8
KMM002 山鹿 30 148 4.8
MYZ001 高千穂 52 163 4.8
OIT012 直入 67 86 4.7
OIT016 佐伯 110 123 4.7
SAG007 佐賀 71 116 4.7
KMM010 三角 30 102 4.7
NGS014 口之津 56 152 4.6
MYZ020 椎葉 49 138 4.6
OIT010 大分 94 93 4.6
FKO011 久留米 67 116 4.6
KMMH10 新和 73 161 4.5
FKO013 八女 56 135 4.5
MYZ002 北川 87 157 4.5
  ※上記値は、弊社処理による。


2016/4/16本震(M7.3)の加速度分布(5HzPGA)

2016/4/16本震(M7.3)時の各地のリアルタイム震度の変化


<2016/4/14前震(M6.5)>

2016/4/14前震(M6.5)の震度分布(リアルタイム震度RI)


2016/4/14前震(M6.5)の加速度分布(5HzPGA)

2016年4月14日21時26分頃発生した熊本地震最大前震(M6.4最大震度7)の
K-NET熊本の強震記録の2回積分による地殻変動(緑線)とGPS観測による
GEONET熊本の地殻変動(国土地理院GPS1秒データ)の比較
(両者は約5km離隔)


随時、解析結果等をご報告して参ります。

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