- REPORT No.2 - 2011/3/11 東北地方太平洋沖地震 (M9.0)
2011.3.24


各地のリアルタイム震度の時刻歴変動からみた東北地方太平洋沖地震の強震動伝播状況


中村 豊
SDR/東工大

K-NETのデータを用いて、各地のリアルタイム震度を算定しました。リアルタイム震度の最大値の分布は既にこのHPでも示していますが、ここでは、各地のリアルタイム震度の時間変動を震央距離に対応して並べたものを示します。


リアルタイム震度の最大値の分布

各地のリアルタイム震度の時間変動

上右図は、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、および千葉県のK-NET観測点を、今回の地震の破壊開始点より北側と南側に位置する地点に分けて、震央距離に対応させて示しています。これをみると、時間差を置いて発生しているいくつかの波源(3〜4個)から波動が伝播している様子がよく分かります。また、南側のリアルタイム震度は徐々に大きくなり、かなり時間が経ってから震度5以上の最大震度に達しているのに対し、北側の震度は比較的早く最大に達していることも明瞭にわかります。



リアルタイム震度の時間変動(アニメーション)

各地のリアルタイム震度の大きさを青から赤までの色に変換して、時々刻々の状況を動画にしたものを上に示しています。これは、最初の検知点に到達した時刻から1秒毎に各地点での前1秒間の最大値の分布図を1コマとして合計250コマ、つまり250秒分を描き出し、1コマ1/4秒で動画再生したものです。これを見ると、仙台沖から三陸にかけた広い範囲に地震動が伝わり、一気に拡大していくとともに、徐々に震度が大きくなっていく様子が分かります。大きな震度の領域は徐々に南へ拡がり、関東地方では震度が次第に大きくなり、かなり時間が経過してから、震度5強以上の強烈な地震動に見舞われています。関東地方では、震度3以上の地震動が、人々を不安に陥れながら実に3分以上続いていたことが改めて確認できるものとなっています。

また、この動画を見ると、終盤ではリアルタイム震度の分布がまだら模様のようになって収束に向かっていますが、場所による相対的な震度の大小は地盤の善し悪しを示唆しているのかも知れません。

今後、これらの情報をより詳細に検討していく予定です。


以上

関連ページ: -REPORT No.1- リアルタイム震度RI、改正メルカリ震度階MMI、加速度(5HzPGA)の分布

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